お財布レスでフードフェスへの参加を可能にした、『まんパク』に欠かせないインフラです。
株式会社ロッキング・オン・ジャパン イベント部 次長 まんパクプロデューサー 加藤 亮祐 氏
ロッキング・オン・ジャパンは音楽中心の総合メディア企業であるロッキング・オン・グループの事業会社として、邦楽に関するビジネスを展開しています。30年にわたり邦楽誌『ROCKIN’ON JAPAN』を発行し、2000年の野外音楽フェスティバル『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』を皮切りにスタートした“フェス”の企画・制作事業は、毎年動員数を増やしています。これに伴い、フェス関連グッズやアパレルブランドの「rockin'star★」の制作、販売も行っています。
フェス事業は国内最大の夏フェス・冬フェスである『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『COUNTDOWN JAPAN』に加え、2010年から『JAPAN JAM』を開始しています。
2011年からは、音楽フェスの飲食エリアをスピンオフする形でスタートしたフードフェス『まんパク』を開催しています。東京での『まんパク』は、開催地域である多摩地域の皆様からの支持を得るだけでなく、遠方からの来場者も年々増え、今や40万人を超える参加規模へと拡大しています。
「マルチ電子マネー端末レンタルサービス」は、フードフェス『まんパク』で2015年から導入しています。満腹博覧会――略して『まんパク』は、音楽フェスの飲食エリアから着想を得たイベントです。音楽フェスの飲食エリアは年々成熟し、“フェス飯”として名物化していました。この“フェス飯”を音楽フェスの参加者のみならず一般の皆さんにも楽しんでもらえるよう企画したのです。
『まんパク』は2011年から開催していますが、当初から、マルチ電子マネー決済の利用を検討していました。お客様の目線で、「他のフードイベントにはない、画期的かつお客様の利便性の高いサービス」を探す中で、電子マネー決済を利用したいと思ったのです。
そこで複数の電子マネー決済サービスを提供する会社から説明を受けたのですが、通信時のインターネット回線にかかるコストが高く、さらに対応する電子マネーの数が少ないことがネックとなり、採用を見送っていました。
ヤマトグループの端末は、通信で使用する3G回線を決済端末に搭載しているので、新たにインターネット回線を設置する手間が不要な上に、主要な電子マネーのほぼ全てに対応していました。これであればお客様の利便性向上に貢献できる、と考え導入を決めました。
バックアップ体制が万全だったことも理由の一つです。実際には、端末が動かなくなるなどのトラブルは一切なく、通信も安定しています。イベント前日にはヤマトグループのスタッフがマニュアルを作って各店舗に利用方法を説明してくれたので、出店者側もストレスなく当日を迎えられました。
決済端末自体が宅急便で届くだけでなく、そのほかのイベント資材の搬入といった物流面全体でもヤマトグループの強力なサポートがあり、出店者は販売に専念できるようになりました。この点は、物流企業を中核にもつヤマトグループならではの支援だと思います。
導入開始当初こそ、故障時を想定して人気店では端末を2台用意して対応していましたが、今は基本的に各店舗に端末1台で運用しています。電子マネーだけでなく現金決済ももちろん可能で来場者は好きな支払い方法を選べますが、電子マネーの利用率は年々上昇しています。
とくに、ドリンクなどの低額決済での利用が顕著です。イベントに来場したお客様からも、アンケートなどで「お財布レスで、便利になった」との声が寄せられており、満足していただいている状況が伺えます。
利用者が増えれば増えるほど、導入の効果はより一層大きなものとなります。フードの提供と会計を1人で行っている店舗では、会計にかかる時間が減るとともにフードの提供スピードも上がり、行列の解消と回転率の向上に大いに貢献しています。お客様の回転率が上がることで、各店舗の売り上げアップにもつながっています。
電子マネーで決済した分については後日振込となりますので、電子マネーと現金決済を併用することで、実際に取り扱う現金が少額になり、出店者からも「つり銭の準備や売り上げ金の保管など、現金の管理が楽になった」と歓迎されています。また電子マネーの決済データと出店者の売上金の突き合わせができることも、チェック機能として役立っています。
さらに、JR東日本の電子マネーであるSuicaを利用できることから、まんパク会場の最寄り駅のJR立川駅との連携もしやすくなり、駅には告知ポスターを掲示していただくなどイベントを全面的にバックアップしていただくことができ、とても感謝しています。
今後は、対応電子マネーの拡大に期待しています。とくにApple Pay(アップルペイ)が利用可能になればiPhoneだけ持って『まんパク』に参加できるようになります。またオートチャージが可能な電子マネーへの対応は、利便性の向上と顧客単価のさらなる上昇につながるでしょう。
『まんパク』は2013年から大阪でも開催していますが、今年は大阪会場でも端末の導入を予定しています。PiTaPaにも対応できれば西日本エリアのイベントではその効果は非常に大きく、電子マネーの利用率も上がるのではと期待しています。
ヤマトグループのマルチ電子マネー端末レンタルサービスには、手数料や端末レンタル料を差し引いても、それらを上回るメリットを感じています。同様のサービスを他社で探す気はないほど満足しており、一度導入したらやめられない、『まんパク』運営上、欠かせないインフラです。