お電話でのご相談・お問い合わせは0120-17-8010(イーナ ヤマト)まで

小口保冷配送サービス
国際標準化を通じ、
健全な市場
世界に広げていきます。

ヤマトホールディングス㈱ 経営戦略担当マネージャー
大河原 克彬

 いま、アジアを中心に世界中で、小口保冷配送サービスの需要が急激に高まっています。日本ではヤマト運輸の「クール宅急便」をはじめ、宅配事業者の小口保冷配送サービスは広く認知され、安心して利用されています。その一方で、東アジアやASEANでは市場が立ち上がったばかりで、温度管理などの品質が不十分という現状があります。コールドチェーンは豊かな社会の実現には欠かせないインフラであり、一定の水準が保たれなければ、将来的な市場の成長を妨げることになります。
 そこで、小口保冷配送市場の今後の発展には、客観的な「基準」、つまり国際規格が必要と考え「PAS 1018」の規格づくりを英国規格協会(BSI)と連携し開始しました。

基準を作ることこそ、消費者、生産者、物流事業者にとってのメリット

 アジア各国では現在、急激な経済成長やECの普及により、国民の生活水準が向上しています。GDPの高い伸びに伴い、生鮮食品や冷凍食品などの需要が拡大し続けています。また、EC市場の成長により、国内外からの食品のお取り寄せも増え、小口保冷配送サービスの需要が拡大しています。
 すでにBtoBを中心とした大ロットの保冷輸送サービスが提供されている国でも、小口かつ多頻度の保冷配送サービスについては、一般的な基準が無く、事業者の温度管理や品質に対する意識が希薄で、サービス水準も相対的に低く、各社が試行錯誤しているのが現状です。
 このまま“安かろう悪かろう”のサービスが海外で広がってしまえば、サービスを利用するお客さまから信頼は得られず、小口保冷配送サービス市場全体が信頼を失い、発展をとげられないリスクがあります。これは、利便性を享受し損ねてしまうという点でお客さまにとって望ましくないだけでなく、生産者や物流事業者にとっても新たなビジネスチャンスを失うことにつながります。

客観的なサービス規格を国内外に浸透させていく。

 公平・公正な第三者の“お墨つき”がサービスの品質やそれに対する信頼性を高め、ひいては健全な市場の成長につながるとの考えから、国際規格づくりに動き出しました。ヤマトグループがスポンサーとなり、策定プロセスには、佐川急便、日本郵便、ニチレイロジグループ本社といった日本の物流事業者、海外の団体や荷主企業、有識者など4ヵ国・21機関に参画していただき、中立的かつ公正な形で規格づくりを進めました。そして2017年2月、BSIから「PAS1018」が発行されました。
 PAS 1018は、小口保冷配送サービスのうち、荷物の積み替えを伴う輸送形態を対象にしており、車両に搭載されている保冷庫などの温度管理を中心に、配送中の積み替え作業などに関する要求事項を規定しています。
 要求事項は、品質を担保する上で「最低限守るべき」という水準を示したものであり、排他的かつ高水準のサービスを求める内容ではありません。お客さまが安心して小口保冷配送サービスをご利用いただくには、守る必要がある基準です。

“オールジャパン”で質の高い物流システムを
海外に広めていく必要がある。

 今回の国際規格づくりは、国土交通省や経済産業省など行政からも支持を得て、官民連携による“オールジャパン”のもとで進められました。
 国土交通省は現在、質の高い物流システムの海外展開を通じ、ASEAN地域などにおける物流環境の改善に貢献することを目指しています。海外物流企業との競争が激化する中で、適正な競争環境を構築することが必要であり、そのためには質の高い物流システムの規格化・国際標準化を進め、広く海外展開を図ることが有効です。
 こうした観点から、国土交通省によって2016年3月に「我が国物流システムの国際標準化等の推進に関する連絡検討会」が設置され、PAS 1018も中心的な議題として取り上げられました。
 また、国土交通省がアジア各国と進めている物流政策対話の場においても、コールドチェーンが議題として採り上げられており、PAS 1018の普及はテーマとなっています。

PAS1018

サービス水準が保たれ、健全な
コールドチェーンを世界に。

PAS1018認証取得した会社

 PAS 1018の発行を受け、ヤマトグループではヤマト運輸、沖縄ヤマト運輸の他、上海、香港、シンガポール、マレーシア、ベトナムの各現地法人の計7社が認証を取得しました。今後は、ヤマトグループに限らず各国の企業や業界団体にも働きかけ、PAS1018の浸透を進めていきます。
 ヤマトグループが目指していることは、まずは一定のサービス水準が保たれた健全な市場の創出に貢献し、お客さまの豊かな生活を実現していくことです。
 今後はコールドチェーン市場でもグローバル化が加速し、クロスボーダーの輸送も拡大していきます。その際には、各国の国内でも一定の品質が担保された小口保冷配送サービスが提供されることが必要と考えています。また、農林水産省などが進めている日本の農水産品の輸出促進についても、輸出先の国でサービス環境が整うことで、輸出の拡大につながることも考えられます。そのため、まずは適切なサービス環境、健全な市場を整備し、その上で各物流事業者が公正な競争を展開していくことが望ましい姿です。
 ヤマトグループは日本で30年近くクール宅急便を提供し、そこで蓄積したノウハウや知見には自信を持っています。これからもお客様に安心してご利用いただくために品質やノウハウに加え、市場の変化に合わせてサービスをさらに磨き上げながら、豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。