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RFIDを活用した
物流の効率化や
生産性向上への取り組み
が始まっています。

一般社団法人ヤマトグループ総合研究所 専務理事
荒木 勉

 IoTの普及もあり、いまRFIDに対する注目が急速に高まっています。RFIDは1990年代後半に日本で注目されはじめた自動認識技術ですが、当時から非常に有用な技術だという認識は関係者の中で共有されていました。しかし、当時はRFIDの価格が高価だったこともあり、なかなか本格的な普及には至りませんでした。それが、ここにきて、大手アパレル事業者が在庫管理や棚卸にRFIDを積極的に活用する動きが広がり、改めて注目が集まっています。
 そうした流れをさらに後押ししたのが、経済産業省が2017年4月に発表した「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」です。経産省の旗振りのもと、2025年までにコンビニエンスストアで売られているすべての商品にRFIDを付けるという構想ですが、こうした環境が徐々に整ってきたこともあり、RFIDはいよいよ本格的な普及時期を迎えつつあります。

RFIDがドライバーの待機時間短縮と
「検品レス」を可能にします。

 ヤマトグループでも、RFID活用の取り組みが進んでいます。物流業界では労働力不足が顕在化し、その対策として生産性向上が急務となっていますが、RFIDはそのための有効なツールになります。
 その一例として、ヤマトグループ総合研究所では昨年から今年にかけて、日用品メーカーや物流事業者などと連携して、RFIDと車両予約システムを活用した実証実験を実施しました。昨今、納品先におけるトラック待機時間の長さがドライバーの長時間労働を助長しているとして社会的課題になっていますが、その原因のひとつが納品時の検品業務にあると言われています。そこで、事前に到着時間が分かる車両予約システムとRFIDを組み合わせたスキームを開発することで、待機時間の短縮と納品業務の効率化を実現する取り組みを始めました。試算では、待機時間を従来比20%程度削減、入庫検品時の生産性を60%程度向上させることが可能になると考えています。
 将来的には、製品を積んだパレットやカゴ車といった物流資材にRFIDを貼付することで、納品先での作業を大幅に削減することが可能です。積まれた製品の情報と物流資材の情報が紐付けされていれば、RFIDを読み取るだけで、どんな製品が納入されたかが分かります。このスキームを活用することで、製品一つ一つの検品にかかっていた時間を短縮でき、より少ない作業員で業務がこなせるようになります。また、物流資材にRFIDを貼付すれば、何度でも繰り返し使うことができて経済的ですし、物流資材の在庫管理にも役立ちます。
 今後は、実用化に向けたさらなる検討を進めていくとともに、日用雑貨品メーカー以外の業界にも水平展開していきたいと考えています。

スキーム概念図

導入企業は、在庫管理の精度向上で
着実な成果をあげています。

 個別のお客様に対応した、RFIDを使った物流ソリューションの事例も増えています。例えばアパレル業界では一般的に、物流拠点の入出荷検品にRFIDを活用することで約70~80%程度の業務コストの削減が見込めると言われていますが、ヤマトグループの国内拠点でも、アパレル通販のお客様の運用にRFID活用を導入することで、入出庫検品の省人化や在庫管理の精度向上を実現しています。また、海外の現地法人でも、主に日系メーカー様向けにRFIDを活用した在庫管理を推進しています。ある精密機器業界のお客様にはRFIDを活用したトータルコストの削減と物流品質の向上を提案し、実際に運用を行っています。運用開始後は、入出庫作業が約40%削減、棚卸作業が約50%削減しました。また、作業員のミスも減少し、物流品質面でも評価いただいています。他のお客様では、RFIDの活用を日本国内でも展開していきたいというご要望もいただいています。
 ヤマトグループではいま、お客さまの業種や事業形態に合ったRFIDの新たなソリューションを積極的に提案しており、今後は活用事例がさらに増えていくと思います。

工程数削減

2020年がRFID普及の大きなチャンス。

 RFIDがさらに普及していくためには、RFIDの単価が低廉化することも大事な要件です。アパレル業界を中心に導入が進んだことで、現時点での単価は10円程度となり、安いものでは7〜8円というレベルになってきました。将来的にもう少し下がれば、物流コストの中で吸収することが可能になり、導入できる業種はさらに広がるでしょう。
 その意味では、2020年に開催される東京2020オリンピック・パラリンピックはブレイクスルーの大きな機会になると考えています。大規模な国際大会を支える物流を万全な体制で実施していくためには、RFIDを活用した物流管理を積極的に導入していく必要があります。
 ヤマトグループではすでに、2017冬季アジア札幌大会でRFIDを活用して選手団の出国時に手荷物輸送サービスを実施した実績があります。
 今後は、2年後のオリンピックをひとつの目標に見据えながら、RFIDの活用事例を重ねることでノウハウや知見をさらに蓄積していきます。

概要(フロー)

業界のリーディングカンパニーとして、
RFIDの普及に貢献していきます。

 ヤマトグループ総合研究所では、ヤマトグループの社員を対象に、定期的にRFIDに関する勉強会を開き、社員のノウハウ習得のサポートをしています。RFIDは実際に使ってみないと分からないことも多いため、特性などを深く理解した上で、お客様に正しい使い方を提案していくことが重要だからです。
 私たちは物流業界のリーディングカンパニーとして、業界の先陣を切って経験を積むことで、RFIDの普及に向けた流れをつくっていくことが使命のひとつだ考えています。これからの物流業界はこれまで以上に連携・協働の求められるようになります。ノウハウを広く提供していくことで活用の輪をさらに広げ、普及に弾みをつけていきます。そして、将来的には、集配を担当するドライバー支援にもつなげていきたいと考えています。RFIDによる物流効率化には、まだまだ無限の可能性が広がっています。